芸術性とは懸け離れたところで、巨大な富の集積手段となってしまったバブルの美術界。 その美術界に風雲児と謳われた画商・堀内晴彦が故郷の小樽で殺された。 捜査本部は、『小樽運河を保存する会』のメンバーだった"高萩"の存在を重要視するが、その人物は意外にも数年前に死亡していた。 捜査は暗礁に乗りあげた。捜査本部主任捜査官の鶴見は、警察庁遊撃捜査係宮之原警部に協力を依頼。事件の裏に潜む巨悪の影に気づいた宮之原警部は、堀内の姪・八坂葉子を伴い捜査を開始する・・・。
プロローグ
第一章 満ちて来る潮
第二章 闇を舞う凧
第三章 残影の街
第四章 坂の上の寺
第五章 買われていた男
第六章 崩壊する闇
エピローグ
宮之原警部
八坂 葉子
小樽へ行ってみたい! と思える旅情たっぷりの推理小説です。人気の観光スポット小樽運河も、過去には開発か保存かで大変な苦労があったのですね・・・。 小樽を訪れたなら、じっくりゆっくり味わって散歩したいと思います。
この作品のメインテーマは絵画界のミステリー。正直言って怖いと思いました。 ゴッホだとかルノアールだとかの絵が、何十億、何百億という値で落札された話は私にも記憶があります。 美術品が芸術を愛でること以外に財テクとして持て囃されたバブルの時のお話です。 画商と資産家、画商と画家、ドロドロした思惑の渦巻きにはまった絵画の世界と、オークションを開催するのがどんなに大変な仕事かもよくわかりました。
それから、寿司やさんのお話。 木谷恭介さんの作品では度々寿司やさんが登場しますが、読むたびに「食べてみたいな〜」とうっとりします。 でも木谷恭介さんの書く寿司やさんを読むと、「もう少し大人になってから・・・」と憧れとあきらめの混ざった複雑な気持ちになります。この作品に登場する寿司やさんは、小樽で三本の指に入るといわれる『北前鮨』。 (もちろんフィクションでしょ)『北前鮨』に入って坐ると、「おビールいただく?」と葉子が聞く。 「いや、お茶をもらおう」と宮之原はさり気なく答える。 主人の霜野は満足そうにする。「白身をにぎってください。あとは任せます」と宮之原が告げると、主人の霜野はこれも満足そうに「承知しました」と答えるのです。右手を濡れ布巾のうえに置くごく自然な構えにも、気合のようなものがこもっている主人の霜野なのでした。
小樽運河ウェブページ http://www.mmjp.or.jp/OTARU/index.html
イラスト(敬称略) デザイン(敬称略) 出版 福田 隆義 安彦 勝博 1990/7 立風ノベルス 坂本 勝彦 石川 勝 1995/2 光風社文庫 毛利 彰 芦澤 泰偉 2000/7 ハルキ文庫
2002ゴールデンウィーク
八坂葉子の叔父でアート・トーキョーのオーナー堀内晴彦が発見された小樽運河。 こんな所で計画的に殺人事件を起こせるはずがないと思いました。作品の設定では、7月下旬の日曜日・早朝5時に発見され、死亡推定時刻はその5時間まえで12時とのこと。夏は北海道の観光シーズンで、夜の12時なんてまだまだ観光客が散歩しているはず・・・なんてアラ探ししに行ったわけじゃないんですよ(笑) しっかり観光して来ました♪ 開発か保存かで苦労があったそうですが、その結果がこの小樽運河なら、これで成功だったのではないのかなと思いました。見どころ(買い物どころ?)がいっぱいの観光地として良く開発された町です。
夜の小樽運河。キレイに整備されていてカップルで歩くのにいい雰囲気です。夜景をバックに記念写真を撮ってくれる写真屋さんもいらっしゃいました