#090 信濃塩の道殺人事件

戻る

 紹介

日本海と信濃を結ぶ塩の道。その街道筋の町・千国で男性が殺された。被害者は青木湖のホテルの常連客。ホテルに勤める緑川恵は、事件を追う新聞記者・秋津に情報を提供した。だが今度は秋津が殺され…。連続殺人の謎に宮之原警部が挑む。

 目次

第一章  千国・三十三観音のまえの惨劇
第二章  ヒスイ峡・第二の殺人事件
第三章  塩の道・栄枯盛衰の道標
第四章  糸魚川・発掘された巨大遺跡
第五章  大森・月下美人を見に行った男
第六章  新潟・第三の殺人事件

 主な登場人物

宮之原警部
緑川 恵
小清水 峡子
結城 靖子(=『出雲いにしえ殺人事件』の結城泰代)

 おすすめ

青木湖、塩の道・千国街道、ヒスイ峡、糸魚川の奴奈川姫、縄文時代の長者ヶ原遺跡・・・ロマン溢れる旅情をたっぷり楽しめるお話ですが、私の大好きな辛口のスパイスもしっかり効いている木谷恭介さんらしい作品のひとつと云えると思います。
たとえば、第一の被害者・パチンコホール経営者の清原勝政の母国のこと。日本に永住しながらも、日本と国交がない国の国籍であるために、海外旅行がままならないというのを初めて知りました。
また、第二の被害者・新聞記者の秋津顕の殺害現場へ、花を手向けた日野温子が、秋津が生前よく話していたという塩の道の話を恵に語るシーンも好きです。
<「農業時代に栄えた塩の道は、工業時代にはいって国道や鉄道が整備されると途端に寂れてしまった。誰が悪いのでもなく、時代の勢い・必然だった。今度は脱工業社会・情報化社会。数年のうちに時代の大変化が起きる。気が付いた時には情報化社会のなかに投げ込まれている・・・。」>

更に、秋津が生前何を取材していたのかを知るため、新聞社・学芸部の同僚に話を聞きに行き、そこで秋津が口にしていたという『再分配連盟』のことを聞くシーンで、ピーター・タスカの『不機嫌な時代』というビジネス書を引用して、『再分配連盟』と『合理的無知』の二つの用語の説明をしてくれます。この話を聞いた後で、宮之原警部が恵に語る台詞
<「あの『合理的無知』というのは、胸に突き刺さりましたね。私なんか、その代表のようなもんです。いまの社会はおかしいと思ってますが、じゃあ、反乱を起こすか・・・。とても、そんな度胸はないですね。」>
「私もだ」と思った方は少なくないはず。

重要なキーワードとなりますが、”リゾート開発”と”遺跡屋”という話には驚きました。正直なところ、スケールが大きくてピンと来なかったのですが、充実した内容でとても面白かったです。

余談ですが・・・
このお話に登場する美女・日野温子。彼女のご先祖様が応仁の乱を引き起こした日野富子だ、という件を読んでドキリとしました。『日本歴史占い』 http://uranai.artisthouse.co.jp/ というのをご存知ですか?性別と生年月日を入力するだけで、自分が日本の歴史上の人物で誰のタイプかを言い当ててくれるというものなんです。実は私、これをやってみたところ、日野富子だという結果が出ました。日野富子は、一般的には悪女のイメージが強いそうで、「手は早いがうっかり事が多くてトラブル続出」とか「口は災いのもと」とか書いてありました。ちょっと当たってるかも・・・と思っていたので、なんとなく親近感を持っていたわけです。(^^;; 「犯人が日野温子じゃありませんように!!」と思いながら読み返したのでした(笑)

 参考リンク

パンプキンの部屋/奴奈川姫(ぬながわひめ)と翡翠(ひすい)のページ  http://member.nifty.ne.jp/PUMPKIN/nunagawa.html
奴奈川姫、長者ヶ原遺跡、翡翠峡などを、パンプキンさんの撮られた沢山の写真とともに、分かりやすい解説を読むことができます。 現在は群馬県にお住まいのパンプキンさんが、糸魚川にいらっしゃった頃の思い出のページとのことです。私もヒスイ海岸へ翡翠(の原石)拾いに行きたくなっちゃいました^^

信州・白馬・どんぐり村 ペンション まい・ふぇろう/信州の歴史遺産【塩の道 千国街道】を学ぼう  http://www.janis.or.jp/users/myfellow/salt/
長野県の青木湖から新潟県の姫川河口までの地図を見ることができます。塩の道120kmを制覇したという ペンションまい・ふぇろうのご主人。 その記録は読み応え十分、賞賛にあたいします!

 発刊履歴

イラスト(敬称略) デザイン(敬称略) 出版
坂本 勝彦 1997/7 ケイブンシャノベルズ
坂本 勝彦 1999/11 ケイブンシャ文庫
緒方 ユージ 池田 雄一 2003/8 徳間文庫

戻る
↑ページの先頭へ
HOMEへ